京都府立医科大学神経内科は、神経内科、老年内科、脳卒中診療科領域の疾患の診療・教育・研究に全力で取り組んでいます。

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年報 2019年度 巻頭言
年報 2019年 巻頭言
京都府立医科大学 神経内科学教室 教授 水野 敏樹

 今年のお正月は1泊2日で伊勢で過ごした。初めて伊勢神宮の初詣に参拝したが、合わせて感動したのは伊勢から見た夜空の美しさである。冬の空のオリオン座やシリウスは京都市内からでも見えるが、冬の大三角を追いかけると、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンを結んでできる三角形がはっきり見える。さらに大きく広げるとふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座が加わって六角になる。子供のように暗い夜空に目を凝らしていると、ダイヤモンド型に並んだ星達が見えてくるから不思議だ。望遠鏡で覗くとシリウスがくるくる廻っている姿がみえる。普段気づかない夜空の美しさに改めて気づかされた。この大きな宇宙と比べると地球は何と小さいことか、そして自分は何と小さいことか。その小さな自分の中に入っていくと何万という細胞が働き、協調し、連携を取りながら体を形作り、小宇宙を作っている。そして細胞まで入り込むとまたその中には核があり、ゴルジ体があり、ミトコンドリアがあり、それらがまた協調しあって一つの宇宙をつくっている。小さな世界から大きな世界までが繋がり、一つ一つの宇宙がまた次の宇宙を創っていく。自然の不思議な大きさと連続性を感じてしまう。その中で小さな自分は何をしているんだろう。


 毎年年末に次の年に何をするかを考えてくださいとスタッフにはお願いしている。1年という期間で成し遂げられるものは多くはないが、その積み重ねは次の大きな一歩になる。若い先生にとっては1年1年はもっと重要である。研修の1年目、2年目は大きく違う。卒後3年目からは5年目は専門医プログラムに乗って、内科の場合には300例以上の症例を経験していかねばならない。このような規定は別にして、医師になってからの5年、6年は伸び盛りの時期である。出張に出た先生が帰ってくると大きな成長を見ることが多い。経験が増えるにつれて医師としてはどんどん成長していく。医師も10年目を過ぎるとその伸び方は変わっていく。毎日同じような業務をこなしているだけだと、1週間、1年はあっという間に過ぎていく。自分のやりたい方向性が見定めて、時間を大事に使いたい。時間軸は同じようで同じではない。若い時の1年は長いが、年と共に1年はだんだん短くなる。自分自身が60歳をすぎ、90歳を超えた父親が亡くなり、一つ年上の従妹が亡くなってみると、人生の時間軸が見えてくる。もう既に人生の半分以上は過ぎて、父親と同じ年まで生きれば残りの人生は1/3、従妹と同じようなら1/60かもしれない。時間軸は長くもあり、短かくもある。やはり1年1年を大事にしたい。


 現場は日々の忙しさで疲れ切っていて先が見えない、という声も聞こえてくれる。目の前に来る患者さんの対応だけで手一杯で、これ以上何をするのか。2025年に向けて確実に患者さんは増えてくる。私が掲げた最も患者さんが増えるであろう2025年までに京都府下の神経内科診療の体制を作りたいという目標まであと6年。小さな自分がどこまでできるかはわからないが、この限られた時間で教室員・同門会員の先生方の新たな挑戦を応援しながら、何とか知恵をしぼって対応できる体制を作り上げたい。

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