- 2007年問題と神経内科
団塊の世代の大量退職による「2007年問題」がわが国の大きな問題となっており、企業、警察、学校教育などにおいて“熟練技術の継承”が課題となっています。先日も退職間近いベテラン警察官が若い警察官に職務質問の技を伝える番組を放送していました。医学・医療の世界においても“熟練技術の継承”は重要です。それも単なる継承ではなく、より高いレベルへの継承でなくてはなりません。
その意味では、先人の問診の取り方、診察の仕方、鑑別診断のあげ方、必要な検査の実施方法などを真剣に学ぶことが自らの実力を付けていくと考えています。同じ事は臨床だけでなく、研究の分野においても言えると思います。
今年は新研修制度がはじまって2回目の新同門会員を迎えました。平成19年度は6名の新人が同門会に入ってくれました。平成19年3月には大学院大学になって初めての神経病態制御学(19年4月より神経内科学)の3名の大学院生が4年間を終了しました。19年度からは新たに4名が大学院に入学し、合計7名になります。19年度から創設された修士課程の神経病態医科学にも入学者があり神経内科で勉強することになりました。平成19年は私たちの神経内科が新たな到達点に立ったと考えています。
すばらしい可能性を持った彼らの能力をどれだけ引き出せるかはすべからく私の責任と考えています。新しいことを教えることも大切ですが、すぐれた伝統、熟練技術を正しく伝えて行くことも必須と考えています。神経内科はとくに問診・診察手技の熟練を要する領域です。もちろん見るだけでは自分のものになりません。自らが診察などを行ってはじめて自分の技になると思います。研究においても自ら手足を動かして実験を行わなければ真実は得られません。
同門会の先輩方にはご多忙とは存じますが、皆様のすばらしい熟練の技を若い同門会員に御指導いただければ幸いです。