京都府立医科大学脳神経内科は、神経内科、老年内科、脳卒中診療科領域の疾患の診療・教育・研究に全力で取り組んでいます。

脳神経内科教室について

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神経内科における臨床と研究の両立

 2002年10月に本学の神経内科教授として赴任させて頂いて、早くも9年目になりました。この間に鴨神会(神経内科同門会)には38名の新会員を迎え、平成23年度も4名の新会員が増える予定です。この本会会員の増加は、ひとえに皆様の日頃のご理解とご援助の賜物であり心よりお礼を申し上げます。

 私は当初より「patient oriented clinical medicine/research」、つまり「常にresearch mindをもって患者さん中心主義で臨床に望み、その臨床の中から研究テーマを見つけ、発展・開花させること」を基本的姿勢として強調して参りました。大学医局を中心として人材を集め、大学院生を増やし(平成23年4月現在の在籍者12名)、国外・国内留学も途切れることなく毎年送り出して参りました。また、日々の臨床業務を効率化し、専攻医も出来るだけ研究に関与できるように努力して参りました。その成果として、アルツハイマー病、パーキンソン病、正常圧水頭症、CADASIL、脳卒中、アレキサンダー病、遺伝性ニューロパチー、HAMなどにおいて注目される論文を発表することが出来たと考えております。これらの仕事が評価され、文科省科研費(代表5件)、厚労省科研費10件(代表者2件、分担者8件)などの競争的資金を獲得できるようになりました。このほかにもいくつかの財団から研究資金を獲得しております。更に大型の受託研究費を受けて平成22年1月から特任助教も新設されました。平成23年4月からは企業との共同研究講座が開設され、新たに特任准教授が新設される予定です。
 臨床実績をどのように評価するかは難しいところですが、外来患者数、入院患者数ともに増加傾向で病床利用率も高く、医業収入で見る限り平成22年度は前年比10%増が見込まれています。
 関連病院の見直しもさせて頂きました。京都府内の公立病院を中心に神経内科医を派遣することを基本として、平成23年7月には、北は与謝の海病院から南は山城病院までの7病院に神経内科医を派遣できる予定であります。その結果、いくつかの関連病院は減員となります。滋賀県の関連病院につきましては新たな本会会員が就職され、神経内科常勤医病院が1病院増加し2病院となりました。
 以上のように、皆様のご理解とご支援のおかげで一定の成果は上がっておりますが、私にとっては「まだまだ不満足」であります。「臨床と研究の両立」(もちろん「教育」も重要です)は簡単ではありません。毎年の業績をまとめるたびに「増えない英文論文数」に頭を抱え、毎年の人事においては「眠れない日々」が続き、研究費採用結果が発表されるころには「現実から逃避」したくなる日々です。しかし、このくらいのストレスに負けるわけにはいきません。Never give up!!

 今後も小成に甘んずることなく、医学・医療における足腰をしっかり鍛え、一歩一歩足元を踏み固めながら、大学院生をはじめ若い諸君の無限の能力を「引き出し、伸ばす」ことに全力を注ぐと共に、「熱い心と冷静な頭脳」をモットーに私自身奮励努力を続けていく所存であります。

 なお、来年は第17回日本神経感染症学会総会(2012年10月19-20日、ルビノ堀川)を主催いたします。大会のテーマは「レトロウイルスと神経疾患」です。会員の皆様のご支援をお願い申し上げます。

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