神経内科学は認知症・脳血管障害・パーキンソン病などの神経変性疾患・多発性硬化症などの神経難病・頭痛・てんかんなどカバーする領域が広い学問領域です。そして我が国の高齢化社会においてこれらの疾患の増大は大きな問題になりつつあります。高齢化人口がピークとなる2025年までにこれらの疾患を診療できる医師が強く求められています。
これまでは神経疾患は診断が難しく、診断ができても治らない病気と言われてきました。しかし2015年脳卒中の分野では脳血管内治療による血栓回収療法による多数のエビデンスが出ました。この治療法は重症の脳卒中による症状を劇的に改善させる効果があります。京都第一日赤の今井啓輔部長は神経内科医でこの治療法に取り組んだパイオニアであり、既に多くの若手医師に血管内治療を指導してきてくれました。2019年脊髄性筋萎縮症に対する mRNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチド治療が認可され、今年にはさらにアデノ随伴ウイルスを使って遺伝子を導入する遺伝子治療も認可されます。これまで全く治療法がないと言われてきた遺伝性神経疾患が治療可能な病気となり、これらの治療法は脊髄性筋萎縮症だけでなく今後多くの疾患には用いられる可能性がある画期的な治療法です。神経組織は一旦傷つくと修復しにくい組織です。治療法がみつかるとともに、早い時期に正確な診断能力が益々必要となっています。この診断を裏付ける生化学・画像・生理学的バイオマーカー研究にも私達の教室は力をいれています。
脳神経内科学教室ではまず神経内科全般をカバーし、正確な診断・早期の治療介入ができる臨床医を育てることです。そして自ら疑問に思い、自ら考える臨床医・研究医を育てることです。当科の教育のモットーは「卒前・卒後教育の重視:個人の能力を引き出す・育てる」ということです。教室員一同学生・研修医・専攻医・大学院生を熱心に教育しており、学生・研修医らからも良く教えてくれると評価されています。是非一緒に私達と新しい時代を創り出しましょう。